新年のご挨拶


新年明けましておめでとうございます。昨年来大変厳しい経済状況となりましたが、こうして六度目の新年を迎えられたことは、創業以来大変お世話になりました皆様のお陰であります。改めて感謝申しあげます。

さて、現在は、不確実性の時代であると言われております。経済学者ケインズ(1883-1946)が再び脚光をあびているのも、彼が1921年に出版した「確率論」から、代表作の「一般理論」(1936)まで一貫して、本質的に不確実性を持つ社会現象をモデルとして捉え、どの様な行動・実践が有効かを論じうる理論を構築したからでしょう。そしてこの見方は、我々の世界観自身を今起きているRealityにより、変えうるものであることは論を待ちません。この様な「確実性」の時代から「不確実性」の時代への変革期に、何が我々に求められているのでしょうか? この問いに対して、我々は創業以来、「不確実性」の世界の理論・モデル構築であり、その理論・モデルを基礎とした実践、すなわち、不断のサービス提供、製品提供であり、更に前者と変わらぬ程重要な、グローバルな知識の共有であると考えておりました。

我々が立脚する「カオス理論」は、「確実性」の世界のモデルである「決定論」と、「不確実性」の世界を記述する「確率論」とを橋渡しをする重要な理論であり、我々は今までシミュレーション、実験でその有効性を確認してきましたが、まだその多くは、特許レベルで成立していても、その多くは実践されてない状況でした。ただ、歴史から、この様な変革期から、後の時代に大きな影響を与えるイノベーションが出ていることが多数見つけることができます。その萌芽はあります。この大不況期に、人類”最後”の通信手段・インフラを目指す「第4世代移動通信方式」(IMT-Advanced)の標準化が、いよいよ本年2月にジュネーブで開催されるITU会議を契機に世界中がスタートするのです。ここで”最後”と書いたのは、一昨年私が日本国側参加者の一人として参加した国際会議(WRC-2007)で、所謂”3G”(IMT-2000=第3世代移動通信方式)と、”4G”(IMT-Advanced=第4世代移動通信方式)が、共通の”IMT”という規格に統一されることを身をもって感じた個人的な想いも反映されておりますが、このIMT-Advancedの標準化が、今後100年の通信の世界を決める重要なプロセスであり、それが今始まろうとしているのは間違いありません。よって、我々は、本年は非常に重要な年であると位置づけております。我々が本年何をやるかは、その結果を持って報告させていただければと思います*。

本年も宜しくお願い申しあげます。

平成21年1月1日

株式会社カオスウェア 代表取締役社長 梅野 健



昨年(2008年)の結果の抜粋

2008年の結果その1

暗号便という新しいWeb上の暗号技術を実現したWebサービスにおいて、2007年12の月間トラヒックから2008年12月のトラヒックへの1年間の伸びが、74倍となりました。


2008年の結果その2

ランダム性評価ツール「RanSure」の基礎となった、ランダム性評価に対する理論(カオスウェア前身のCRL(現NICT)カオス暗号チッププロジェクトの成果)が、米国商務省国家標準局(NIST)の公式文書に記載されました。


2008年の結果その3

カオスCDMA(カオス前身のJSTカオスCDMAチッププロジェクト開発, JST委託開発、CRL(NICT)の成果)とOFDMを自然に融合する究極の無線通信方式「カオスOFDM」を、ガウスの整数論を用いて発明し、昨年9月のシーテック、理研みずほシンポジウム等でデモ展示しました。